月の輪 滓酒(おりざけ)
月の輪 滓酒(おりざけ)
月の輪酒造店
先日に引き続いて個人的な流行が来てる濁ってる系の酒。
酒を搾って濾過した後、本来なら上澄みだけを瓶詰めするところを沈殿している「澱(おり)」ごと瓶詰めしたのがいわゆる「おりがらみ」と呼ばれるお酒(ネット調べ)。
今回のはその「澱」部分だけを自社製品のタンクからかき集めてつくられたものらしい。ただしどう考えてもやりすぎ感ある。
5合瓶の下半分が澱。加減しろ。
保管と開栓は注意書きもあります。
最初は混ぜずに上澄みの部分だけ少し頂いてみる。
かなり強い吟醸香。メロン系。
口当たりはかなりまろやかで17度とは思いえない。味は甘さがメインで、香りから想像できる通り、熟れた果物のような風味が口いっぱいに広がる。苦味や酸味はあまり感じられず、後口にアルコールの辛味を少し感じるかも、ってぐらい。飲んだ後は風味がかなり残る。正直甘ったるいといった印象。
試しにぬる燗でも頂いてみた。
まず香りは冷えている時とは明らかに違う、なんというか焦げた甘い煮物みたいな感じになる。言葉に困るがあまりポジティブな感想が出てこない。
味についてはとにかく糖甘くなった。後口もかなりベタつくのでこれはちょっと失敗かなと。
本番。振り混ぜてから頂きます。沈が重すぎてあまり混ざらない。
意外なことに上澄みだけの時よりも遥かに飲みやすい。
果実みたいな甘ったるいばかりだったのが、澱の苦味とか酸味とか旨味とか香りとか、色々なものが合わさって凄く複雑な味になる。
これは濃い味のあてにもよく合う味。塩辛も良かった。
開栓翌日以降の変化が凄い。
澱の比重が高いために飲み進む毎に澱の割合が増えていく。ともすれば甘いだけの単調な味だった上澄み部分に雑味が足されていくので飲む度に印象が変わるのは面白い。
季節限定品らしいが、聞いたところによるとこのお酒は同酒蔵さんの色んな貯蔵槽から澱を集めてつくられているので成分は年によって違うとのこと。年に一度買って何日かかけて味わうのも良いかも。