日々是飲酒

飲んだお酒についてのメモ。

秋とんぼ 山田錦

秋とんぼ 山田錦

泉橋酒造株式会社

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泉橋の生酛純米酒。秋あがり

 

冷やで。

生酛純米で精米歩合80だがほんのりと青りんご様の立ち香。

口当たりはまろやか。

底の方に苦味を感じるが、味わいの印象としては甘酸っぱい感じ。後口には心地良い酸味。

 

ラベル裏に50度ぐらいの燗がおすすめとあったのでそれに従って燗付け。

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(かんすけ手に入れてから燗付けるのが超☆楽しい)

 

これは美味しい!!

冷やの時に感じた香りや味わいが全体的にグレードアップしている。

特に後口の酸味が長く強く残るようになり、それが非常に心地良い。

鼻から抜ける香りもクドさを感じさせないフルーティなもの。

 

ふくよかで味わい強めなのに爽やか、「瑞々しい」という形容詞が一番しっくり当てはまる、いづみ橋らしい(?)お酒。良い意味で生酛純米とは思えない。

単体でも美味しいけど、あての幅も広そう。火を通した和食なら薄味濃味問わず大体のものに合うと思う。

 

個人的には、おすすめ通りの熱めの燗が圧倒的に美味しかったです

川亀 特別純米

川亀 特別純米

川亀酒造合資会社

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冷やで。

わずかに黄みと濁りあり。

上立ち香は控えめながらもフルーティ。

口当たりは柔らか。旨味はそれほど強くないが味わいの基調に苦味があって結構しっかりしている。口の奥の方で結構目立つ酸味がやってくる。かなりドライな印象。

 

ぬる燗

美味い!

主張強めだった酸味が落ち着いた代わりに控えめだった

旨味が前に出てきた。底の方には苦味もしっかり感じられて、「味が濃い」というよりも厚みを感じる味わい。最後には酸味が締めてくれるのであと残りしないのは冷やのときと同じ。

 

全体的に強い主張はないがどっしりとして力強い印象。それでいて後口がドライなので、食中酒としてかなり万能な感じがする。

これは絶対にまた買う。

 

 

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時期で安かったので鯵の塩焼きと併せて。美味しかった。

切込みが深すぎて身が崩れてるのはご愛嬌。

生酛のどぶ

生酛のどぶ

久保本家酒造

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睡龍と同じ蔵元なんですね。赤文字で日本酒度の表記あり。+11.5

 

まずは冷やで。

最初に上澄み部分だけで頂いてみる。

上立ち香はかなりはっきりとしたもち米様。

口当たりはやや粘度を感じる柔らかさだが、味わいの方は最初から痺れるほどの乳酸ががっつり攻めてくる。旨味も苦味も酸味も全てが強い。

特に乳酸の酸味が鮮烈で、飲み下したあと喉にビリビリ痺れるような感覚が残るほど。25度ぐらいあるんじゃない??? って思うぐらい。

上澄みだけでも十分特徴的で面白い。

 

次はちゃんと振り混ぜて。

口当たりの柔らかさは変わらないが、味わいが凄くまろやかになった。

味は複雑で旨味も苦味も酸味もそれぞれに主張が強いけど、にごり要素が全部を包んで柔らかくしてくれている感じ。痺れるぐらいの乳酸が最後に全部持っていくので全くクドさを感じない。味が濃いのに飲みやすい。

これは絶対燗にも合う。

 

ということでぬる感で。

口当たりの柔らかさが更に増した。唇に触れた瞬間は「甘酒?」というような。口全部が乳酸。余韻は強いがクドさは感じない。

そこから温度を~60℃(飛び切り燗)ぐらいまで上げていったが、何故か温度が上がるほど飲みやすさ、というか爽やかさが増してくる謎のお酒。

これは飲みすぎる。危険。

 

 

今日はスパイスカレーと合わせてみたが、これが凄い好相性。

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スパイスに負けない味わいの強さがある上に、後味に残りがちなカイエンペッパーの辛味を強い酸味が全部持っていってくれる素晴らしいコンボ。誂えたような最高の組み合わせ。スパイスカレーとの組み合わせとしてはジントニックを超えた。

 

 

ネットで人気の理由がわかった。味はめちゃくちゃ濃いのにいくらでも飲める。

 

 

 

月の輪 滓酒(おりざけ)

月の輪 滓酒(おりざけ)

月の輪酒造店

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先日に引き続いて個人的な流行が来てる濁ってる系の酒。

酒を搾って濾過した後、本来なら上澄みだけを瓶詰めするところを沈殿している「澱(おり)」ごと瓶詰めしたのがいわゆる「おりがらみ」と呼ばれるお酒(ネット調べ)。

今回のはその「澱」部分だけを自社製品のタンクからかき集めてつくられたものらしい。ただしどう考えてもやりすぎ感ある。

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5合瓶の下半分が澱。加減しろ。

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 保管と開栓は注意書きもあります。

 

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最初は混ぜずに上澄みの部分だけ少し頂いてみる。

かなり強い吟醸香。メロン系。

口当たりはかなりまろやかで17度とは思いえない。味は甘さがメインで、香りから想像できる通り、熟れた果物のような風味が口いっぱいに広がる。苦味や酸味はあまり感じられず、後口にアルコールの辛味を少し感じるかも、ってぐらい。飲んだ後は風味がかなり残る。正直甘ったるいといった印象。

 

試しにぬる燗でも頂いてみた。

まず香りは冷えている時とは明らかに違う、なんというか焦げた甘い煮物みたいな感じになる。言葉に困るがあまりポジティブな感想が出てこない。

味についてはとにかく糖甘くなった。後口もかなりベタつくのでこれはちょっと失敗かなと。

 

 

本番。振り混ぜてから頂きます。沈が重すぎてあまり混ざらない。

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意外なことに上澄みだけの時よりも遥かに飲みやすい。

果実みたいな甘ったるいばかりだったのが、澱の苦味とか酸味とか旨味とか香りとか、色々なものが合わさって凄く複雑な味になる。

これは濃い味のあてにもよく合う味。塩辛も良かった。

 

 

開栓翌日以降の変化が凄い。

澱の比重が高いために飲み進む毎に澱の割合が増えていく。ともすれば甘いだけの単調な味だった上澄み部分に雑味が足されていくので飲む度に印象が変わるのは面白い。

 

 

季節限定品らしいが、聞いたところによるとこのお酒は同酒蔵さんの色んな貯蔵槽から澱を集めてつくられているので成分は年によって違うとのこと。年に一度買って何日かかけて味わうのも良いかも。

蓬莱 新酒一番にごり 冬季限定蔵出し

蓬莱 新酒一番にごり 冬季限定蔵出し

渡辺酒造

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濁り酒って普段は全然飲まないけど、先日行ったお店でべらぼうに美味しい濁り(辨天娘)飲んでから濁りブームが来てる。
そんな今日、近所の酒屋さんで見つけたので購入。

 

冷酒で。

見た目からしてかなり濃い濁り。香りはもち米とカルピスの中間ぐらい。
口当たりは当然濃厚でまろやか。
アタックは一瞬軽く感じたがすぐに濃厚な旨味がやってきた。
舌の上で転がしていると旨味の後ろに程よい程度の苦味と酸味。意外に思ったのは酸味が控えめなこと。
飲み下した後に喉の奥で甘味を強く感じる。

 

ぬる燗で。
香りがつきたての餅そのもの。あまくて良ーい匂い。
冷酒の時に喉の奥で感じた甘味がアタックからガツンとくる。
とにかく濃厚の一言。甘さは強いが、単なる糖甘さだけではなく、これでもかってぐらい旨味をぶつけてくる。
飲み込んだ後に口の中に長く残る旨味の余韻と、アルコールと一緒に鼻から抜けるもち米の香りがたまらない。

だだ甘いかったり酸っぱかったりじゃない、意外なぐらいどっしりした味わいの酒。


邪道と言われようとも圧倒的に燗付けしたほうが好み。

あては醤油系の味付けなら大体何でも合いそう。煮付けとか。
ボイルホタルイカをわさび醤油もかなりいけた。

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スーパーで買ってきたけどこれも結構季節モノよね。

 

日和って300ml買ったの後悔するぐらいに美味しい酒。
季節限定らしいので今季中にもう一回飲もう。絶対。

天狗舞 山廃仕込純米酒

天狗舞 山廃仕込純米酒

株式会社 車田酒造

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濃い黄色。箱には「濃い山吹色が特徴です」って書かれてた。

 

まずは冷や。

上立ち香にはやや吟醸香
飲み口はやや粘性強め。アタックは濃厚だが甘い感じではなく苦味を強く感じる。甘味旨味も確かに存在するが苦味が主体。
後口にはややアルコール感があり辛め。

 

ぬる燗にするとふくよかな米の香りが感じられるようになる。
アタックから旨味を強く感じられるようになり、やや苦味が強く癖のあった冷やよりも格段に美味しく感じる。

口に含むと熟成感のある濃厚な旨味と乳酸に口全体が支配される。
冷やで後残りしていたアルコール感も感じづらくなり、程よい酸味が締めてくれるため味は濃いが飲み飽きしない。鼻から抜ける米の香りも併せて気持ちのいい後味。ゆっくり一口ずつを舌で転がしながら味わいたい良いお酒。

味が濃いあてにぶつけたい。

 

圧倒的にぬる燗が美味しいが、上燗まで温度を上げるとアタックから山廃らしい乳酸がビリビリするぐらい感じられる。これはこれで好き。

川亀 純米吟醸 雄町

川亀 純米吟醸 雄町

川亀酒造合資会社
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冷酒で。

鮮烈なものではないものの優しくフルーティーな香り。

まず口当たりが非常に滑らか。味わいは苦味がほんの少し強めに感じられるが、纏まっていて優しいイメージ。
後口は舌先に少し酸味が残るが、キレが良くかなりドライめな印象。

目立って特徴的な部分はあげられないものの、全体的に飲みやすい。


ぬる燗で。

フルーティーと餅米の中間ぐらいの心地良い香立ち。

口当たりの滑らかさはそのままだが、口に含んだ瞬間、甘酸っぱい旨味が舌先から爆発的に広がっていく。
強い旨味と対照的に後口はドライなままなので、飲み飽きしない。食中酒にも適しているように思う。



個人的にはぬる燗で美味しい。
飲む人や機会を選ばない、たいへん美味しいお酒でした。


追記
開栓翌日は香りが良く分かるようになる。特に口の中に含んだときの広がり方が絶妙。
少し辛さを感じるようになった気もするが、それもまたよし。
ほんの少し飲みやすさがなくなった代わりに味わいが一段と深くなった。